さぁ始まりました!記念すべき第1回目は「岡本博の魅力」と題しまして、トイズマッコイプロダクトの代表でヴィンテージ界の大御所でもある岡本さんの魅力を皆さんにお伝えします。
普段トイズさんとはお取引の上で交流がありますが、僕からすると雲の上の人。すごく緊張しますが、どんなお話が聞けるかドキドキします!それではトイズさんの本社にお邪魔してお話を伺います。
高橋:
岡本さん、今日は宜しくお願いします。
早速ですが、岡本さんがアメリカナイズされたきっかけから教えて頂けますか。
岡本:
はい、やっぱりテレビの影響が大きいですね。
小さい頃から家にテレビがあったのでよくアメリカの西部劇とかホームドラマなんかを観ていたんですよ。
何もかもが新鮮でカッコ良くてね。
その当時日本の家庭には無い大きな冷蔵庫とか、ダイニングテーブルに何気なく置いてあるパイとかケーキとか。日本にもビスケットはありましたがパイやケーキはなかなか見れなかった。
何を観てもそのスケールの大きさに憧れていたんです。「奥様は魔女」もよく観てました。笑
ダンナのトニーが宇宙飛行士でしょ。
観てるとレプリカではないちゃんとした軍服や装備品なんかがチラッと出てくるんです。
それをカッコ良くて見入ってましたよ。
高橋:
なるほどですね。
僕は奥様は魔女は分かりませんが多分小さい頃からモノを見る視点が違ったのでしょうね。
岡本:
でも面白い事に、その当時プラモデルを作るのに周りの友達はゼロ戦とかB-17とかを選ぶんだけど私はフランケンシュタインとかゴジラとかモンスターを好んで作ってました。笑
高橋:
テレビでドラマを観ていても軍服に目が行くって事は、その頃からミリタリー物に関心が強かったんですね。
岡本:
確か小学校3年の頃、7つ上の兄貴に連れられて映画館に「戦う翼」を観に行ったんです。B-17が観れるぞって。そこでまた圧倒されましたね。B-3を見ても毛がフサフサして何てカッコ良いんだ!ってね。 マックイーンが出演してるんですけど、小学生なんか外人はみんな同じに見えちゃう中で、マックイーンは違いましたね。ジープや爆撃機の乗り方がとにかくカッコ良い。他の外人とは全く別でした。
あと一流に対しての考え方ですね。
兄貴の影響からか、一流に対しての考え方は特別なものだったと思います。
兄貴は当時珍しかった、スカイラインGT-B、117クーペ、ベレットGTR、トヨタS800なんかにBELLの500-TXを被ってサーキットを走ってました。なので車やバイクに対しても、自然と一流に目が向くようになりましたね。
高橋:
一流への関心ですね。そして現在につながるマックイーン愛ですね。
そうやってミリタリー物への関心から実際に生産するようになるまでを教えて頂けますか?
岡本:
私は絵を描く事が好きで学校を出てしばらくしてから雑誌「POPEYE」のイラストを任されるようになったんです。名古屋に住んでましたから、ハーレーに乗って東京の編集部まで通ってたんです。A-2を着てハーレーなんか乗ってるヤツなんていませんから、東京の人は私を面白がってくれましたよ。笑
当然A-2はオリジナルですから、どんどん着古してしまうわけです。それを見ていた編集部の石川次郎さんが誌面にA-2を取り上げてくれたんです。そしたらもの凄い大反響で。「A-2を作ってみないか?」って事になったんです。
限定で生産したらこれまた大反響でした。 それからです。フェローズの志村君を含めた3人で本格的にフライトジャケットの生産を始めました。
高橋:
現在のフライトマーケットの始まりですね。
商品を企画する上で、何か注意されている事はありますか?
岡本:
フライトを初めとする服も車もバイクも、普通の人より本物に拘ると中途半端ができなくなるんです。夢を追い求めていく上でちゃんとしたモノが欲しくなる。ただタウンユースとして楽しんでもらうのに、あまり行き過ぎた企画にしないように気を付けています。
本物のオーラは越せません。ただ革の取り都合(用尺)や着やすさを追求する事で本物を越えられると思っています。
高橋:
勉強になります。
本物を知る努力が必要ですね。
今、車やバイクが話題に出ましたが、岡本さんはコレクターとしても有名ですよね
岡本:
t先ほども言ったように、本物や一流を知る事でモノづくりに活かされるんです。ちゃんとした本物や一流を実際に自分で使う事で、何が必要かが分かります。
高橋:
お気に入りの車とバイクは何ですか?
岡本:
車はコブラ、バイクはキャプテンアメリカですね。 見てみます?
高橋:
えーーーーーーーーーー! いいんですか?
岡本:
もちろんですよ。今日は天気が良いので普段は屋根を外しているコブラに乗れます。
という事で本社近くのガレージに案内して頂きました。
うゎーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
ガレージのシャッターを開けて頂いて目に入ってきたものは、もう夢の国でした。
ご自宅から乗って来られたというコブラがドーーーン。あとはハーレーとトライアンフの山。もう身体中に電流が走る思いでした。
岡本:
高橋さんコブラに乗ってみます?
高橋:
は、はい!
1965年製の「COBRA 427」アルミやグラスファイバー製のボディのものはよく見かけるが
岡本さんのコブラはビルケンパー手作りのアルミボディ。おそらく国内ではこれ1台との事。
キャロルシェルビーが作ってくれたアルミ製8.4Lのエンジンに積み替えたモンスターマシンだ。
とにかくエンジン音がもの凄い!腹の底まで響いてくる重低音は迫力満点だ!
早速乗せて頂くことに
もの凄くエキサイティングでした!乗ったことはありませんが、多分現行のフェラーリやポルシェでは体感できない「武骨な走り」なんだと思います。
アクセルを踏んだ時は身体が持って行かれる感じでした。ジェットコースターを重くした感じでしょうか。とにかく迫力満点でした。
続いて、キャプテンアメリカ号
1950年のフレームに1948年のパンヘッドを搭載しています。
僕は写真でしか見た事がありませんでしたが、まさに、あの、イージーライダーの世界です。 数あるハーレーの中で、今一番のお気に入りだそうです。
僕的には、フルオリジナルの1946年ナックルヘッドに目が行きました。
塗装から何まで、すべてオリジナル。 鳥肌が立ってしまいました!
岡本:
どうでしたか?
高橋:
ありがとうございました。もう言葉になりません。
岡本:
さっきも言った通り、本物や一流から習う事から夢が広がっていくと思うんです。
高橋:
はい、僕も努力して本物から学べる様になりたいと思います。
今日は本当にありがとうございました。
岡本:
いやいや、こちらこそ
あっという間の時間でした。業界の大先輩であり憧れの岡本さんと時間を過ごして、とっても緊張しましたが業界の先輩というより男としてのスケールの大きさを肌で感じました。
多分、男なら誰しも持ち合わせている子供の頃からの「憧れ」や「ロマン」を地で行っている事がカッコ良いのだと思いました。
岡本さんそのものがある意味、「男のロマン」なんだと思います。
そんな岡本さんのトイズマッコイ商品を取り扱う立場として、身が引き締まる思いで帰ってきました。